素敵ストーリーコンテスト
 暮らし
「峠の思い出」

峠の思い出

「子供のときは草履履きで歩いて峠を越えたもんだ」という隣に住む大家さんの昔話。「あそこの山にはおじいさんの祀りこんだ観音さまがおって…あの峠を越えて出作りしとった田まで通って…」と訪ねるたびにいろんな話をしてくれる。なにもないような山道だけど、歩いてみるとそこにはたしかに人が歩いたたくさんの物語を感じます。仕事が変わってこの山と離れることになってから、大家さんも亡くなってしまい、集落に住む人がもういなくなってしまったけど、山奥の奥にたくさんの思い出があり、今でも大切なものを置いてきたような気がします。

設楽町在住 石井峻人さんの作品